
二つの研究会の位置づけ
「理論言語学」という広大な学問分野があります。
「言語学」と聞くと、勘違いされることが多いのですが、これは、語学のエキスパートを要請する学問分野ではありません。もちろん、「英語の勉強が楽しいから」この分野の研究者になったという人も多くいるのですが、いわゆる語学オタクになるためにある学問分野というわけではないんです。
じゃあ、いったいここは何を研究する場所なのでしょうか。実は、理論言語学とは、ことばを分析しながら、それを操る人間の不思議を研究する科学の一分野です。
伝統も厚く、色々な学問分野との交流も豊かで、とてもやりがいのある面白い研究分野なんです!だって、みなさん、人間ほど複雑で豊かなコミュニケーション・システムを持つ動物って知らないですよね。人間(ヒト)の言葉っていったいどういう仕組みになっているのでしょうか、そんなこと考え始めたら、とってもワクワクするじゃないですか!
さて、そんな理論言語学という分野で、私(山田彬尭)は研究を進めているのですが、この研究の過程で、しばしば自分の強みとして織り交ぜているのが、言語実験や大規模コーパスの解析などの定量的な視点です。
そこで、二つの研究会は、そういった理論言語学と呼ばれる学問分野に、何か学際的、分野横断的な視点を取り入れて、発展させていきたいという人たちがメインで集まる場所にしたいなと思っています。
第一に、「理論言語学実践」では、伝統的な理論言語学の枠組みを学びながら、議論を行います。伝統を押さえる基盤となる研究会です。
第二に、「言語×デジタルヒューマニティーズ(DH)×フィールドワーク(FW)」では、その伝統的な理論言語学の理論を、さらに大きく発展させるためのデジタル技術をフィールドワークを交えながら会得することを目的とした研究会です。伝統の殻を破っていく応用的な側面を持たせていきたいと思っています。
このように、二つの研究会は、大きなところでつながりながら、少し違っています。どっぷりこの世界につかりたいなら、両方を、他の先生方の研究会との創発的な異文化融合を目指すのなら、どちらか一方を履修して、自分のキャリア形成に大きくつなげていってください。